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金額に換算するのは嫌なのですが、私たちは、年間約40億円のサービス提供を行っておりました。 例えば、東京都内でもっとも書店が多く、競合の激しい駿河台で書籍部は、十億円弱の売上がありました。出版量が少なくなった人文書、社会思想書などを中心に、多くの教職員、学生の信頼を集めていました。 また、専門書、人文書、社会思想書は中小出版社から多く出版されます。このような中小出版社との連携も、魅力でした。書籍業界は斜陽産業といわれます。数少ない中小出版社の営業社員は、本校の書籍部を訪ねることで、私学キャンパスでの動向や自社商品の評判を確認し、マーケティングを行っていました。他大学の書籍部でも、「お茶の水の××さんのご紹介です」といえば、聞いていただき、お取引を広げられるからです。 商品を並べることは誰でもできますし、ベストセラーと雑誌を中心にした書店は多くありますが、コミックを置かずに、専門書をベースに提案できる大型の大学生協の書店は、限られています。 生協の店員は、専門家なのです。 ここまで実力のある「学内サービス」をつくりあげるのは至難です。新しい「学内サービス」が 図書館納品と教科書販売、通信販売中心では、顧客は離れ、店舗は縮小していきます。 民間レベルで可能なのか?私たちのノウハウは消えようとしています。 パソコンOA分野は、販売台数が全ての世界ですので、売上数千億円の販売店と三店舗で4億円の 中小店舗とでは、比較になりません。しかし、多くの教職員のみなさんのご支持をいただき、ありがとうございました。 お会いするみなさんの声、サポートにお伺いする時のクレーム。これがすべてでした。価値を訴え、消費者の使用感覚を取り込むマーケティングがキャンパスの基本です。 一昨年、みなさまのご支援で「食堂館」「購買・書籍の移転〜新規オープン」ができました。 わたしも、新店舗の計画、運営に関わらせていただき、大きな経験ができました。 「情報を発信する販売店」というのが、この業界の合言葉ですが、「勉学・研究に役に立つ提案」こそ、最大の情報発信であり、マーケティングの基本と考えていました。 予定では、今年は「ディベートできる学生」を店のテーマに、 コンテンツ(情報量、商品提案内容)を深めようと考えていました。昨年までの「プレゼンできる学生」はやめるつもりでした。 学会むけの「おしゃれなプレゼン」だけでは就職が厳しいからです。自分の部下にしたくないような人間を、技術者として、雇うわけがないではないですか。社内教育したくない人間が、技術者として雇われますか。 お取引先に、斬新な店舗のコンセプトを提案すれば、新しい提案が集まってくるものです。新店舗の売上は10億円からありましたので、いろいろな情報はきたいできます。 わたしたちは、このようなヒト・モノ・カネの資本蓄積をゼロから行っていきました。いろいろな支援を受け、資本蓄積を他に振り向けることなく進んだからです。実力ある「学内サービス」を育てることは、簡単なことではありません。 大学の「環境プラン=民間ど導入プラン?」には、40億円に至る実力ある「学内サービス」作りの仕組みがありません。 「環境プラン」でも、弁当、麺類。ハンバーガー。コンビニ、文具、書店の導入。PCサポートデスクetc言われています。(.暫定的なプランでしょうが)働いてきたものの実感として、多様な先生がたの要求に応えられる仕組みではありません。 40億円は無理としても、今すぐに、どのような「学内サービス」がキャンパスに必要なのか。「プラン」は提案していません。 みなさんが日常的に受けている「サービス」は、複雑な流通とマーケティング、業界の棲み分け、厳しい労働管理によって成立しています。ヒト・モノ・カネを組織していくのは、大変なことです。 しかし、わたしたちも、それなりの「学内サービス」を行っておりました。現在、必要な「学内サービス」のレベルを法人に要求する場合には比較の対象になるでしょう。 実際に、「収益事業」として「学内サービス」を考えると、前途は多難です。 先生がたは、忙しくて、賑わっている店舗を見慣れています。しかし、閑散とした夏休み、春休みも知っておられるでしょう。 「学内サービス」は、8ヶ月の繁忙期と4ヶ月の閑散期で、1年間の従業員を雇い、経営を続ける仕組みです。 このノウハウが難しいのです。 また、販売は純剰余が1〜2%の世界です。「学内収益事業」儲かる、と思ったらダメです。さらに、大学職員の給与水準と販売の給与水準は、桁違いです。上記の剰余も、販売の世界での人件費を前提にした話です。 例として、亜細亜大学の職員のサイトを紹介しておきます。 (株)亜細亜興業(仮称)は、大学を救えるか http://www.asia-u.ac.jp/~chiba/kougyou.htm また、立場、内容こそ違いますが、工学院大学生協労組のサイトも示唆に富んでいます。 懲戒解雇後、いくつかの「学内サービス」をおこなっている 生協、企業、大学購買会etc.の みなさんと会ってきましたが、 どこも「21世紀の大学サービスのビジョン」を模索していました。 「大学間競争」「聖域なき大学改革」「独立行政法人」という言葉に振り回されていました。 ある経営トップから言われました。「ずっと営業してきたんだから、逆に<弱点>も良く知っているでしょう?」 本当に、ありがたいアドバイスでした。秋までには、「弱点克服」をテーマにした、学内サービス論を準備しなければいけません。 |